3. Version 3.0 改訂版によせて
3. 1. MML Version 3.0 開発ゴール

HL7 が提供するメッセージに載せて MML で記述された医療情報文書を,送る側,送られる側にとって相互に齟齬なく伝達するため,つまり通信に際し互いに背景になる状況の意味が同じになるように,また,永続性のある情報オブジェクトとしての医療情報文書として独立に存在する場合と,その医療情報文書を HL7 メッセージに載せて送る場合のシームレスな統合を実現した医療情報交換規約 MML (Medical Markup Language) Version 3.0 を開発した.

MML Version 3 の開発のゴールは次の 2 点である.

(1) HL7 Version 3 の中で最初に ANSI 規格として認められた HL7 Version 3 Standard: Clinical Document Architecture Framework Release 1.0 (HL7 CDA) [11] をベースに機能拡張させた MML Version 3 の提供

(2) 従来の MML Version 2.3 が提供している医療情報記述能力をそのまま確保し,MML Version 2.3 を使用している既存ユーザーにとって新しい MML Version3 への移行コストを最小限にする

新たに開発された MML Version 3.0 により,HL7 Version 3 が提供するメッセージで MML Version 3.0 で記述された医療情報文書を搬送できるとともに,HL7 Version 2 のメッセージでも搬送することが可能になった.HL7 CDA は,HL7 Reference Information Model (RIM) から導かれており,RIM の特徴であるメッセージを送る側,送られる側の齟齬を解消する効果,つまり通信に際し互いに背景になる状況の意味が同じになる効果は,HL7 CDA に継承されるとともに,HL7 CDA をベースにした MML Version 3.0 にも継承されている.

また,法的義務が課される場合もある医療情報文書と,システム間コミュニケーションの媒体としてのメッセージとの情報の相互運用性についても,HL7 CDA が提供する効果であり,この効果も MML Version 3.0 に直接に継承されている.

3. 2. MML Version 3.0開発方針

MML Version 3.0 の開発では,HL7 CDA との上位互換性をとるため,HL7 CDA の拡張記述の方法 (HL7 CDA section 3.2.2.6,5.3.3 および 5.3.4 を参照のこと) を参考にしている.それに基づいて以下の再定義,ルール策定を行なっている.

(1) MML Version 3.0 での MML Version 2.3 で使用されていたモジュールの再定義

(2) HL7 CDA Header への「MML ヘッダー」の組み込みルール

(3) HL7 CDA Body への「MML コンテンツ モジュール」の組み込みルール

(4) MML ヘッダー,MML コンテンツ モジュール内での制約ルール

また,MML Version 3.0 の基になった MML の版は,MML Specification Version 2.3 Type C および,Type C から Type B への修正部分を含む.


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