6. 2. MML Version 3.0 における HL7 CDA の役割
6. 2. 1. HL7 CDA をベースにするにあたって

MML Version 3.0 で,MML Version 2.3 の仕様は HL7 CDA を利用できる構造に改変された.MML Version 3.0 インスタンスを HL7 CDA ベース MML 文書 (HL7 CDA based MML Document) と呼ぶことができる.HL7 で目的とする医療情報アプリケーション間のメッセージによる情報交換方式に HL7 CDA 文書が対応しているために,HL7 CDA ベース MML 文書は,HL7 のメッセージ交換規則に基づいて交換することが可能である.また,永続性のある情報オブジェクトとして HL7 CDA ベース MML 文書が独立して存在する場合も,HL7 のメッセージ交換規則に基づいて交換する場合もシームレスに統合することができる.本仕様書ではこれを満足させるために必要最小限な HL7 CDA の項目のみに言及する.本仕様書で記述される以外の内容は HL7 CDA の仕様に準拠する.

この仕様書で示される値は明示的に示されない限り、大文字・小文字を区別した文字列とする。

6. 2. 2. HL7 Version 2.x メッセージで HL7 CDA ベース MML 文書を送る方法

HL7 Version 2.x [13] から見ると,HL7 CDA ベース MML 文書はマルチメディア・オブジェクトであり,MIME (Multipurpose Internet Mail Exchange:RFC2046) 形式のパッケージとして交換され,カプセル化されたデータタイプ (encapsulated data type:ED) としてエンコードされる.HL7 CDA ベース MML 文書は,文書を交換しようとするメッセージの中で,OBX (Observation Segment) セグメント内に埋め込まれる.OBX セグメントの中では,MIME 形式のパッケージが HL7 Version 2.x のカプセル化したデータタイプとしてエンコードされていることになる.OBX 2 の値 (Field 00570 Value Type) は "ED" に設定する.OBX 5 内のデータタイプ コンポーネントは次のように値を設定する.

MDM (Medical document management, event T02) メッセージでの. HL7 CDA ベース MML 文書例 1

MSH|...

EVN|...

PID|...

PV1|...

TXA|...

OBX|1|ED|11492-6^History and Physical^LN||
^multipart^x-hl7-cda-level-one^A^

MIME-Version: 1.0

Content-Type: multipart/mixed; boundary="HL7-CDA-boundary"

Content-Transfer-Encoding: Base64

--HL7-CDA-boundary

Content-Type: application/x-hl7-cda-level-one+xml

... Base64-encoded CDA based MML document ...

--HL7-CDA-boundary

6. 2. 3. HL7 Version 3 メッセージで HL7 CDA ベース MML 文書を送る方法

HL7 CDA (HL7 Version 3 Standard: Clinical Document Architecture Framework Release 1.0) ベース MML 文書は,文書を交換しようとする HL7 Version 3 メッセージで交換される予定である.現時点では,HL7 CDA 以外の HL7 Version 3 関連の規格で正式に (たとえば ANSI 規格として) 認められたものはなく,まだ原案として改定が頻繁に繰り返されている状態である.したがって本節で説明する内容は HL7 CDA が作成された時点での参照情報モデル RIM Version 0.982 に基づいている.HL7 Version 3 RIM,Data Types などの内容が変更になれば,メッセージの書き方も変更になる可能性がある.

HL7 CDA で参照する RIM の版が変われば,本節の説明も改定する.

HL7 Version 3 メッセージから見ると,HL7 CDA ベース MML 文書はマルチメディア・オブジェクトで,MIME 形式のパッケージとして交換され,エンコードデータタイプ (encoded data type:ED) としてエンコードされる.

HL7 CDA が基にしている参照情報モデル RIM Version 0.98 によると,Service.txt RIM 属性がエンコードデータタイプとしてエンコードされた MIME パッケージを含む.データタイプのコンポーネントは次のように設定する.

下記に例を示す.

HL7 Version 3 メッセージで HL7 CDA ベース MML 文書を送る例 3

<someMessage>

<Service.service_cd V="11522-0"

S="2.16.840.1.113883.6.1" DN=" Radiology report "/>

<Service.txt MT="multipart/x-hl7-cda-level-one">

MIME-Version: 1.0

Content-Type: multipart/mixed; boundary="HL7-CDA-boundary"

Content-Transfer-Encoding: Base64

--HL7-CDA-boundary

Content-Type: application/x-hl7-cda-level-one+xml

 

... Base64-encoded CDA based MML document ...

 

--HL7-CDA-boundary

</Service.txt>

</someMessage>


1. 注:source:HL7 CDA

2. 注:2002 年 10 月現在で参考にした RIM のバージョンは Version 1.16 である。

3. 注:source:HL7 CDA.正確な表現は HL7 Version 3 Data Types, Release 1 DTD ballot の結果による。


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