はじめに

 

日本医療情報学会課題研究会「電子カルテ研究会」[8]では,1994年頃から,診療データを異なる施設間で電子的に相互に交換するための方法について研究を行ってきた.

1995年に,データに属性をつけて交換するというアイデアが生まれ,Standard Generalized Markup Language (SGML)を用いて具体化が進められた.この規格はMedical Markup Language(MML)と命名された.折しも1995年に発足した厚生省電子カルテ研究開発事業に研究会メンバーが参加し,以後3年間研究開発に従事し,この過程で交換規格が実用可能なレベルまでブラッシュアップされた.また,MMLでは表現不可能な情報(画像など)の取り扱いのため,浜松医大の木村教授を班長とする作業班(DICOM, MML, HL7などををどのように組み合わせて運用するかという医療情報交換のための運用指針の策定を目的とした厚生省作業班)との協調作業を行い,MMLインスタンスからDICOMなどの外部ファイルを参照するという方式を確立し,同時にMMLを実装可能なレベルまで詳細化する作業が行われた[2, 3].

MML実装の具体的な動きが出るに伴い,様々な診療分野に特化した構造が必要となってきたが,本グループで全ての診療分野をカバーすることは事実上不可能であり,頻繁に起ると予想される部分構造の新設/変更が全体構造におよぼす影響を考えると,バージョン管理等の点で効率的でない.そこで,1999年3月にW3C勧告案となったXML Namespaceを用いて,MMLをモジュール化し,必要に応じてモジュールを組み合わせて使う方法に変更した.これにより,各診療分野特有の記述形式が提案可能となり,論理構造策定作業の分業化が可能となった.本仕様や関連データは,MedXMLのサイト[1]で公開/管理される.