文書の粒度

 

一つのモジュールアイテム(MML基本構造1.2.1.MmlModuleItem)には,一つのcontent(MML基本構造1.2.1.2.)しか出現できない.さらに,一つのcontentには,一つのMMLモジュールしか挿入できない.よって,一つのモジュールアイテムが,一つの文書と見なすことができる.しかし,一つの文書が意味する文書粒度は,文書の種別ごとに定義しておく必要がある.

 

(1) 患者情報

患者情報は,蓄積型の情報であり,最新の情報のみが意味を持つ場合が多いので,複数の患者情報文書が意味を持って同時に出現することは考えにくく,文書粒度が問題になることはない.

(2) 健康保険情報

一つの使用可能保険・公費の組合せを一文書とする.詳細はエレメント解説を参照.

(3) 診断履歴情報

一つの病名を一文書とする.主たる病名に対する合併症や続発症は,別の文書に記載する.病名を,幹病名と修飾語に分けた場合は,合わせて一文書とする.詳細はエレメント解説を参照.

(4) 生活習慣情報

患者情報とほぼ同じで,複数の生活習慣情報文書が意味を持って同時に出現することは考えにくく,文書粒度が問題になることはない.

(5) 基礎的診療情報

患者情報と同様である.

(6) 初診時特有情報

一回の初診(入院)で取得した一連の情報を一文書とする.ただし,情報の取得が段階的に行われて,複数のインスタンスに分かれることはありうる.複数の初診(入院)で取得した情報をまとめて一文書にしてはならない.

(7) 経過記録情報

プログレスノートに相当する文書であり,一回の記述を一文書とする.よって,記載者が複数存在することはない.また,通常は記載日が複数日にまたがることもない.

(8) 手術記録情報

手術室に入室し,退室するまでの一連の情報を一文書とする.一旦手術室を退室し,時間をあけずに再び入室して再手術を施行した場合は,二文書とするべきである.逆に,手術途中で術者や担当診療科が変わったり,術創が変わっても,一文書とすべきである.

(9) 臨床サマリー情報

ユーザーが定義する対象期間のサマリーを一文書とする.通常,退院時サマリーの場合は,一回の入院で一文書と考えられる.入院途中で転科し,複数診療科にまたがった場合に,サマリーを分けるか,一つにするかは,ユーザーによって定義される